フリーランスとして活動する大切な第一歩が、開業届の提出。
いよいよ自分もフリーランスとして活動していくのだなという覚悟が生まれる瞬間でもあります。
とはいえ「手続きが複雑そう」「自分ひとりで手続きができるのもなのかな?」と不安に思う方もいらっしゃることでしょう。
この記事では、開業届のメリットやデメリット、出し方や手続きの流れを詳しくご説明します。
開業届の提出で一番変わること
開業届を提出することで最も変わる点は、確定申告の際に青色申告が選択できるようになるという点です。
青色申告は帳簿の記入が複雑ではありますが、白色申告と比べて控除額が大きく、今後売上が伸びる可能性がある場合には、青色申告のほうがメリットが大きいものです。
売上が少ない時期であっても、青色申告は赤字を3年間繰り越しが可能です。
今はかんたんに青色申告ができるソフトも多数ありますので、フリーランスとして今後の活動を考えるのであれば、開業届を提出し、青色申告にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
開業届はどこに出す?
開業届は、納税したい場所の管轄税務署に提出します。
もちろん自宅でも構いませんし、自宅以外に事業所を持つ場合には事業所の管轄する税務署に届け出を提出します。
バーチャルオフィスの所在地を納税地とすることも可能ですし、バーチャルオフィスの住所を取得していても、納税地を自宅の所在地とすることもできます。
開業届は郵送やe-taxでも提出可能ですので、自宅とバーチャルオフィスの距離が離れていたとしても、かんたんに開業届を出すことができます。
開業届の出し方・手続きの流れ
開業届の提出方法は、窓口への持参、郵送、e-taxの3種類があります。
この項目では、開業届に関する手続きの流れをご説明します。
1、開業届はどこでもらえるの?
開業届は税務署の窓口、もしくは国税庁のHP(こちら)からダウンロードが可能です。
窓口で開業届をもらう場合、納税地の税務署でなくても構いません。
全国どこでも、最寄りの税務署で開業届をもらうことができます。
2、開業届を提出する前に決めておきたいこと
開業届を提出する前に事前に決めておきたい項目は以下の通りです。
屋号
開業届には、屋号の記入をする項目があります。
もし屋号を使用する場合には事前に屋号を決めておきましょう。
フリーランスとして、とてもわくわくする瞬間でもありますよね。
開業日
もちろん、開業届の提出日を開業日としても構いません。
そのほか、助成金や確定申告の都合が良い日、もしくは思い入れのある日を開業日として設定することもできます。
開業届は、開業日の1か月以内と決められています。
開業届の提出日から1か月先、または1か月前までの日付までしか、開業日としかできません。
任意の日付を開業日にしたい場合には、開業届の提出日を考えておきましょう。
青色申告をするかどうか
確定申告には「白色申告」「青色申告」の2種類があります。
白色申告は売上が38万以上となった場合に申告が必要です。
帳簿の記入が比較的かんたんである反面、特別控除が受けられません。
青色申告は売上金額にかかわらず申告が必要です。
帳簿記入に複雑な点がある反面、特別控除が受けられますので、控除額が大きくなる点がメリットです。
白色申告は申請の必要がありません。
しかし青色申告は開業から2ヶ月以内に申請が必要です。
開業から2ヶ月以降に申請をした場合、その年は青色申告ができず、白色申告で確定申告をすることとなります。
青色申告と白色申告はそれぞれメリット・デメリットがあります。
将来的には青色申告のほうがメリットは大きいですが、どちらの申告方法を選択するかを事前に決めておきましょう。
3、開業届の提出の際に準備する書類
開業届の提出の際に準備が必要な書類は以下の通りです。
- 開業届
- 青色申告承認申請書(開業届の提出と同時に青色申告事業者となる場合のみ)
- マイナンバーカード
※マイナンバーカードを取得していない場合は以下の2点が必要です。
- マイナンバーを確認できる書類の写し(マイナンバー通知カードや住民票のうちいずれか1つ)
- マイナンバーの持ち主であることを確認できる書類の写し
(運転免許証、身体障害者手帳、公的医療保険の被保険者証、パスポート、在留カードのいずれか1つ)
4、窓口で開業届を提出する場合
管轄税務署に開業届を持参して提出をする場合には、開業届のほか、必要な書類を一式持参します。
開業届の書き方で不明な点がある場合には、担当者に聞きながら記入できる点や、書類に不備があった場合にはその場ですぐに訂正して提出できる点がメリットです。
最も早く開業届を提出できる方法です。
税務署は平日の8時30分~17時までとなっています。
また2月~4月は確定申告で税務署は繁忙期となります。
もし確定申告の種類や開業届の提出に関して不明点や聞きたいことがある場合には、税務署が開いている時間に、繁忙期を時期を避けて提出すると良いでしょう。
5、郵送で提出する場合
現在の居住地と納税地を別にする場合や、管轄の税務署が遠い場合、平日の昼間に税務署まで出向くことができない場合には、郵送でも提出も可能です。
開業届など必要書類を用意して、納税地の税務署宛てに郵送をします。
開業届が管轄税務署に到着するまで時間がかかる点や、万が一書類に不備があった場合や受理されず返送され、修正書類を再び送ると言う手間が発生します。
そのため、開業届の受理までに思いがけず時間がかかってしまうこともありますので、不備がないか事前にしっかりとチェックしたうえで郵送しましょう。
6、e-taxによる提出
開業届はe‐taxでの提出もできます。
インターネットとパソコン、スマホがあれば自宅から開業届が提出できるので、非常に便利です。
e‐taxで開業届を提出するためには、マイナンバーカードと事前のe‐tax利用登録、専用ソフトのダウンロードが必要です。
e-taxサイトはこちらとなります。
HPをよく読んで、事前準備を進めましょう。
https://www.e-tax.nta.go.jp/
開業届を出すタイミングは?
「売上がまだ少ないし…」という理由から、開業届を出すタイミングを迷っている方もいることでしょう。
しかし、開業届と売り上げは関係がありません。
開業届を出さなくても、売上が年間48万以上となる場合は、開業届の提出の有無にかかわらず、確定申告が必要です。
また、開業届を出し、確定申告をしたからといって、すぐに税金を納めなければいけないわけでもありません。
売上があっても赤字であったり、売上が少なければ税金は発生しません。
このように、開業届と売上、確定申告は関係がありませんし、開業届を提出しないことによる罰則もありませんので、開業届を出すタイミングは個人の自由ということになりますね。
開業届を提出することで、青色申告が可能となります。
売上が48万以上となる見通しができ、控除額が大きい青色申告の必要が出てきた時点で、開業届を提出する人も多いようです。
副業の場合は開業届は必要?
開業届が必要となるケースは事業所得が発生する場合です。
副業における収入は「雑収入」となりますので、開業届は必要ありません。
開業届のメリット・デメリット
開業届を出すメリットとデメリットをまとめてみました。
開業届を出すメリット
開業届を提出することで確定申告の際に青色申告も利用できるようになります。
青色申告を利用することで、最大65万の控除をうけられたり、赤字を3年に渡って繰り越すことも可能です。
また家族への給与は白色申告では経費となりませんが、青色申告の場合には経費とすることも可能です。
帳簿の作成がやや複雑ではありますが、受けられるメリットも大きいのが青色申告です。
青色申告は帳簿記入が面倒臭いというイメージを持つ人も多くいますが、今ではイージーモードでかんたんに青色申告ができる会計ソフトもあります。
1人でも迷わずに青色申告できるソフトもありますので、探してみると良いでしょう。
またお子さんがいらっしゃる場合には、開業届を出すことで就業者として認められますので、保育園の入園が可能となる自治体もあります。
また開業届を出すことによって屋号での銀行口座の開設もできるようになりますので、プライベートとビジネスで口座を分けやすくなります。
開業届を出すデメリット
もし家族の扶養に入っている場合、加入している組合によっては、開業届を出した時点で収入の有無にかかわらず、扶養を抜けなければいけません。
開業届を提出する前に、扶養に入っている組合に確認をしておきましょう。
バーチャルオフィスの住所でも提出可能
バーチャルオフィスの住所でも開業届は提出可能です。
開業届は窓口以外にも郵送やe-taxでも提出することができますので、自宅にいながらにしても届を出すことができます。
開業届を提出することによって、確定申告の際に青色申告が利用できるようになる点が最大のメリットと言えるでしょう。
青色申告はフリーランスにとってメリットが大きい申告方法です。
また、これから売上アップを目指す方はぜひ、開業届を提出しておきましょう。